2025/05/13

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初のアンチ・マネーロンダリング報告書が完成、頼行政院長はAPGの第3次相互審査合格に期待

2018/05/03
アジア太平洋マネーロンダリング対策グループ(APG)による中華民国(台湾)に対する第3次相互審査が今年11月に行われる。これに向けて政府はこのほど、国として初めての「マネーロンダリング及びテロ資金供与リスクに関する評価報告書」をまとめた。写真は報告書の発表会。(中央社)
アジア太平洋マネーロンダリング対策グループ(APG)による中華民国(台湾)に対する第3次相互審査が今年11月に行われる。これに向けて政府は37の公的機関、並びに31の民間団体(協同組合など)と共に、国として初めての「マネーロンダリング及びテロ資金供与リスクに関する評価報告書」をまとめた。
 
法務部(日本の法務省に相当)の邱太三部長(法務大臣)によれば、マネーロンダリング(資金洗浄)で台湾に「非常に高いリスク」があると見られる犯罪は8つで、それは麻薬・覚せい剤の販売と輸送、詐欺、組織犯罪、汚職、密輸、証券犯罪、第三者決済サービスを利用したマネーロンダリング、税務犯罪。「高いリスク」があると見られるのは知的財産権に関する犯罪。
 
邱法務部長は、比較的容易にマネーロンダリング並びにテロ資金供与に利用される業種や機関は、「極めて危うい」のが台湾の銀行及びそのオフショア・バンキング・ユニット(Offshore Banking Unit,OBU=銀行の国際金融業務支店)だと説明。「大変危うい」のがオフショア・セキュリティ・ユニット(Offshore Securities Unit,OSU )や外国銀行の台湾支店、郵政機関、証券会社、オフショア・インシュランス・ユニット(OIU)、「銀楼」(金や銀などの貴金属取扱業)、会計士、弁護士、不動産仲介業、農業金融機関、生命保険会社、証券投資信託業などだという。この「評価報告書」は3年後の2021年に更新し、それから3年もしくは5年ごとに世界全体の趨勢、犯罪の形態に応じて特定の部門や犯罪形態を調べるという。
 
頼清徳行政院長(首相)によると、中華民国(台湾)はAPGに1997年から創始会員国として加わっている他、マネーロンダリング防止法を制定したアジア初の国でもある。台湾は様々な規範を守りながら国際的なマネーロンダリングの防止活動に参与しており、2007年にはAPGから大変高い評価を受けたが、2011年の評定ではランクを落とすこととなった。政府はその後の検討で至らない点を確認し、前行政院長の林全氏が任期内に、行政院アンチ・マネーロンダリングオフィス設置、マネーロンダリング防止法改正、テロ資金供与防止法改正、そして今回まとまった「国家評価報告書」など、複数の具体的な対応策を打ち出した。
 
この「報告書」では麻薬・覚せい剤の販売、詐欺、組織犯罪、汚職、密輸、証券犯罪、第三者決済サービスを利用したマネーロンダリング、税務犯罪、知的財産権など、現在、マネーロンダリングを防ぐ点で台湾が抱えるとされる9つの弱点を明らかにしている。しかし、これらの弱点は政府が取り締まりに積極的な犯罪でもあり、「報告書」の提出以前から、政府は世界の要求にいっそうかなうようにとこれら弱点の改善強化に取り組んできた。頼行政院長は、APGが11月に行う第3次相互審査で、台湾が合格できるよう期待している。
 
金融監督管理委員会(日本の省レベルに相当)の顧立雄主任委員(大臣)は報道陣に対し、同委員会が脱税をマネーロンダリング防止のプロセスに加えた理由について、税務犯罪がマネーロンダリングの一部となる可能性を指摘した。同委員会ではこのため、金融機関をリスク評価に取り入れるよう要求する。疑わしい取引があった場合、金融機関はそれを報告せねばならない。
 
こうした措置がOBUの顧客に影響するとの懸念に対して顧主任委員は、現在OBUのリスク管理措置は外国為替取扱銀行(Domestic Banking Unit,DBU)と完全に同じで、OBUだからといって制限を緩くすることはないと強調。また、金融機関に対しては顧客確認(KYC=Know Your Customer)を徹底するよう要求する。顧主任委員は、顧客の状況と実際の受益者を知ること、並びに税務共通報告基準(CRS)をしっかりと実践していくことは世界の取り組みであり、こうした点で国際基準を満たせたならば問題がないことになると説明した。
 
 

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